再開したスルメイカの競り=函館市で2025年11月11日午前6時31分、三沢邦彦撮影

 漁獲停止命令が出ていた小型イカ釣り漁船(5トン以上30トン未満)によるスルメイカ漁が約3週間ぶりに再開された。11日早朝には北海道函館市の函館漁港などに発砲スチロールに入ったスルメイカが次々と水揚げされ、市場も活気づいた。

 小型船によるスルメイカ漁は全国の漁獲可能量(TAC)の4900トンを10月下旬までに約1000トン上回った。北海道いか釣漁業協会(札幌)は10月22日から自主規制として函館市を含む小型イカ釣り漁船を休漁。水産庁は同31日に採捕停止を命令を発出した。

5キロ入りの発砲スチロールに詰め込まれたスルメイカ=函館市で2025年11月11日午前5時13分、三沢邦彦撮影

 今回のスルメイカ漁は、道が資源量などの調査を目的に道内の漁業者に限って漁を許可する「特別採捕許可」によるもので、上限は398トン。道は調査予定の238隻(10日現在)に許可証を交付した。

 函館市水産物地方卸売市場によると、11日に水揚げされたスルメイカは3680キロ。禁漁前からスルメイカの大きさに変化はなく、最高値は5キロ7900円と休漁前より高値で取引された。

小型船から水揚げしたスルメイカを運び出す漁師=函館市で2025年11月11日午前5時4分、三沢邦彦撮影

 水揚げ作業をしていた福島町の漁師、桜庭正巳さん(68)は「漁に出られるのはいいが、海にイカがいない」と、最盛期ともいえる期間が禁漁になったことに悔しさをにじませ「来年はどうなるのか」と不安も口にした。

 威勢のいい声が響いたスルメイカの競りの様子に卸売業者「函館魚市場」の美ノ谷貴宏取締役営業部長は「こういう光景が当たり前。とりあえず漁が再開されて一安心。限られた上限枠を大事に使いたい。これから(生きたままの)活イカも出てくると思うので期待したい」と話した。【三沢邦彦】

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