
武田薬品工業は11日、同社の大阪工場(大阪市淀川区)が12月に稼働110周年を迎えるのを前に、記念イベントを開いた。現地とオンラインを合わせて従業員ら約500名が参加した。イベントの冒頭で山田章弘工場長は「過去に大阪工場で世界中の人々の健康と未来に貢献してきた人、今貢献している人に心からお礼を申し上げる」とあいさつした。
会場では、従業員が製造現場の効率化や品質向上に向けた最新の取り組みを紹介した。医薬品を製造する無菌室では、作業員の歩行速度を人工知能(AI)が解析するシステムを導入。微粒子の拡散を防いで衛生状態を保つため、定められた歩行速度になっているかをカメラ映像から測定し、モニター上で色分けして表示する。作業員が自らの動きを確認できるようにし、意識向上や動作の最適化につなげているという。
3Dプリンターを活用した現場改善の取り組みも披露された。試験管の収納ラックなどを自社で設計し現場の細かなニーズに対応。市販品では難しかった使い勝手を改善した。実物が展示され、担当者は「約2年半の利用で1000万円のコストカットを実現した」と説明した。今後は3Dプリンターの追加導入も予定している。
大阪工場は1915年に創設され、当初は鎮痛薬のアスピリンを製造していた。現在は注射剤を生産しており、武田薬品は23年度に、大阪工場に血液製剤の製造設備を新設するための投資を公表している。
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