農林水産省は随意契約の備蓄米によるコメ価格への影響などをより正確に示したいとして、6月から全国のスーパーなどおよそ6000店舗を対象にした民間のデータを公表しています。

それによりますと、8月17日までの1週間に販売されたコメの平均価格は、5キロ当たり税込みで3579円と、前の週より71円高くなりました。

農林水産省は、上昇の要因は分析する必要があるものの、備蓄米より割高な新米の販売が始まった影響が出ている可能性もあるとしています。

地域ごとにみると、最も高かったのは「北陸」の4186円、逆に最も安かったのは「九州・沖縄」の3272円で、地域ごとの価格差は最大914円となり、前の週より拡大しました。

都内のコメ店「消費者の米離れを体感」

都内のコメ店では、ことしの新米の販売が始まりましたが、価格は去年の1.5倍ほどに値上がりし、例年に比べると、売れ行きは鈍くなっているということです。

東京 目黒区にあるコメ店では、18日から佐賀県産の「七夕こしひかり」の新米の販売を始めました。

去年は同じコメを5キロ税込み4500円で販売していましたが、ことしは、6800円程度と1.5倍ほどに値上がりし、これまでで最も高くなっているということです。

また、この店では23日から茨城県産の「あきたこまち」と千葉県産の「ふさおとめ」の新米も販売する予定ですが、価格は去年の2倍以上の6000円になる見通しだということです。

西島豊造社長は「お客さんは価格をみて、あまりの高さに驚いた顔をします。例年と比べると、新米を買う人は圧倒的に少なく、消費者の米離れを体感しています。これ以上、価格が高騰しないようにしてほしい」と話していました。

専門家 “需要と供給が均衡するまで高値が続く”

コメの生産や流通に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授は、需要量に対して生産量が不足していたことで、業者間の集荷競争が続いていることなどを高値が続く要因として挙げています。

そのうえで大泉名誉教授は「去年、集荷率が低下した農協がことしはコメを集める際に生産者に前払いする『概算金』を引き上げ、それが底値となって手数料やマージンが上乗せされる。そうした要因が絡まって高値となっていると思う」と指摘しました。

また、今後の価格について、新米は流通が本格化してくれば今より安くなっていくとみられるものの、全体としては、需要と供給が均衡するまで高値が続くとみているということです。

大泉名誉教授は「9月以降も備蓄米を販売したとしても平均価格が下がっていくということはあまり考えられない。新潟などでは、渇水や高温の被害もあり、北海道・東北・北陸の稲作地帯の生産状況がどうなっていくかも注目される」と話していました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。