高市早苗首相と日銀の植田和男総裁は18日、首相官邸で会談し、経済情勢や物価動向、金融政策の方向性などについて約30分間、意見交換した。植田氏が2%の物価目標の実現に向け金融政策を調整していると説明し、高市氏はそれを了承したという。外国為替市場で円安が進む中、為替問題についても議論した。高市氏が10月下旬に首相に就任して以来、2人が官邸で会談するのは初めて。
会談後、報道各社の取材に応じた植田氏は「2013年から政府・日銀ともに努力して物価と賃金が上昇するようなメカニズムが復活してきた。そういう中で、インフレ(物価上昇)率が2%で持続的、安定的にうまく着地するよう、徐々に金融緩和の度合いを調整しているところだ」と高市氏に説明したことを明かした。これに対する高市氏の反応について「『それは、そういうことかな』と了解されていた」と述べた。
植田氏は「為替についても、もちろん議論した」と明かした。詳細は説明しなかったが「政府と連携して為替の動向について注視していく」と述べた。
植田氏によると、高市氏から日銀に対し金融政策に関する具体的な要求はなかったという。
日銀は、トランプ米政権の大規模関税の影響が限定的で、来年の春闘で賃上げが順調に進むとの見通しがたてば、追加利上げに踏み切る構え。早ければ12月会合で決める可能性がある。
ただ、高市氏は金融緩和と財政拡張を志向する「リフレ派」で、景気を冷やしかねない利上げに否定的な立場。自民党の総裁選では日銀の金融政策へ介入するかのような強硬姿勢も示しており、市場では両氏の初会談が注目されていた。
高市氏は今回の会談についてコメントしておらず、どのような考えを持っているかは不明。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「首相は不用意なことを言わないようにしている可能性がある。この会談で、日銀が利上げに向け『フリーハンド』を得たとは言えないのではないか」との見方を示した。【古屋敷尚子、山口智】
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