和服に身を包んだ外国人観光客=京都市東山区で2023年11月5日、佐藤賢二郎撮影

 政府が18日発表した10月の訪日外国人客数(推計値)は前年同月比17・6%増の389万6000人となり、単月としては今年4月の390万9000人(暫定値)に次ぐ過去2番目の多さとなった。

 ただ、足元で中国政府が自国民に日本への渡航自粛を呼びかけており、今後の訪日客数の伸びに影響を与える可能性がある。

 10月の訪日客数の国・地域別の内訳は、韓国(86万人)▽中国(71万人)▽台湾(59万人)▽米国(33万人)――だった。今年1~10月の累計は3554万人となり、年間で過去最多となった2024年の3687万人を上回るペースとなっている。

 一方、中国政府は台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁への対抗措置として、中国国民に当面の間、日本への渡航を自粛するよう呼びかけている。今年1~9月で最多の748万人を占める中国人客の訪日自粛が広がれば、国内の観光産業への打撃となりかねない。

 過去には12年に日本政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化した際、中国政府が日本への渡航を控えるよう注意喚起し、訪日客が大幅に減少した。

 日本政府観光局によると、尖閣諸島を国有化した12年9月の中国からの訪日客は前年同月比8%増だったが、翌10月には34%減と急減した。その後も数カ月にわたって30~40%台の大幅減が続いた。

 野村総研の試算では12年と同規模で中国と香港からの訪日客数が減少した場合、訪日客の消費額が約1・8兆円減少し、実質国内総生産(GDP)を0・29%押し下げる。

 観光庁の村田茂樹長官は18日の記者会見で「動向を注視していくことに尽きる。(業者などへの)ヒアリングを含め状況の把握をやっていく」と警戒感を示した。【杉山雄飛】

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