バイタルケーエスケー・ホールディングス(HD)傘下のメドリープファーマ(仙台市)は、開発中の新規薬剤候補「マルトール第二鉄」について、指定難病の肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者を対象とした臨床試験(治験)を始めた。既存薬を転用して別の疾患の治療薬として開発する「ドラッグリポジショニング」の例となる。
マルトール第二鉄は欧米では鉄欠乏症治療薬として既に販売されている。メドリープファーマは世界で初めてPAH治療薬としての活用を試みる。PAHは心臓から肺に血液を送るための血管である「肺動脈」の圧力が異常に上昇する病気。鉄欠乏性貧血を伴う頻度が高く、鉄の効率的な補充が推奨されている。
従来のPAH治療薬と異なりマルトール第二鉄は消化器系への副作用を抑え、長期投与が可能になると見込まれる。今回の臨床試験の結果を踏まえて次の段階の試験に進み、PAH治療薬として2028年以降の承認申請と発売を予定する。
メドリープファーマはバイタルケーエスケーHDが製薬会社として立ち上げた全額出資子会社で、海外で使える薬が日本で利用できない「ドラッグロス」の解消を目指す。マルトール第二鉄を開発した英バイオ企業のシールド・セラピューティクスとは日本での独占的ライセンス契約を結んでいる。
【関連記事】
- ・医薬卸や新興、ドラッグロス解消へ薬開発参入 治験簡略化でコスト減
- ・バイタルKSK子会社、英製薬会社と鉄欠乏症薬でライセンス契約
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。