武田薬品工業は25日、血液の希少疾患治療薬「アジンマ」について、米食品医薬品局(FDA)が安全性の調査をしていると発表した。投与後の死亡例を受けた調査で、武田薬品は死亡例と薬の因果関係について否定した上で「現時点ではアジンマの全体的な安全性情報に変更はない」とコメントした。
アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)という希少疾患向けの薬だ。cTTPは血管のなかに血栓ができ、出血しやすくなったり、発熱や頭痛、腹痛などの症状が出る。患者に不足する酵素を補充し、血栓の形成を抑制する。2023年にFDAから承認を取得し、日本でも24年に承認された。
FDAによると投与患者の体内に、酵素に対する中和抗体が現れる例が報告されているといい、うち小児の死亡事例が1件あった。治療開始から約10カ月後に中和抗体が確認され、FDAは21日付のリリースで小児患者の死亡は「アジンマとの関連が疑われる」と指摘した。
武田薬品は「患者の健康と安全を最優先に考えている。このたびのご逝去に際し、深い哀悼の意を表する」とコメントした。同社によると7月に事例を認識し、FDAへ報告して情報提供を続けた。その上で「当社で詳細な評価を行った結果、アジンマの使用と当該死亡例との間に、因果関係は認められないと判断している」とした。
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