企業の大胆な設備投資を促すため、政府が総合経済対策に創設の検討を盛り込んだ新たな租税特別措置(租特)の原案が判明した。法人税から投資額の8%を差し引く税額控除を5年間措置する方向で検討しており、減税規模は年5000億円規模に膨れ上がる見込み。米国の関税政策で影響を受ける企業が利用する場合は、控除率を15%に引き上げて影響を緩和することも検討する。年末の税制改正議論で制度の詳細を詰める。
税額控除のほか、設備投資にかかる費用の全額を初年度に減価償却費に計上する「即時償却」のどちらかを選択できる仕組みの導入を検討している。租特の減税規模は、利用する企業の数によって増減する。
対象は、事業規模や業種を限定しない全事業者を想定する。工場建屋の建設や生産ラインの新増設、ソフトウエアなど幅広い設備投資のうち、投資に対する利益率が15%を超えるような、高い付加価値を生み出す可能性が高い設備投資計画を適用条件とする方針だ。
2014年に当時の安倍晋三政権が同様の租特を創設し、設備投資が3年間で約7兆円増の87兆円に拡大した。トランプ米政権は7月に成立させた「一つの大きく美しい法案(OBBBA)」の中で設備投資の即時償却を復活し、建物も対象に追加するなどして拡大。ドイツも同時期に5年間の時限的な法人減税を決めており、各国で投資の囲い込み競争が激化している。【遠藤修平、中島昭浩】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。