北海道電力が再稼働を目指す泊原発3号機(北海道泊村)を巡り、鈴木直道・道知事が再稼働に同意する考えを示す方向であることが判明した。これまで賛否を明言してこなかったが、経済団体などの強い要望や「煮え切らない」姿勢への批判を受けて一段踏み込んだ形で、「日本一電気料金が高い」北海道の経済活性化を念頭に「客観的に、原発に頼らざるを得ない」との考えを示すとみられる。
17日に立地自治体の泊村の高橋鉄徳村長が再稼働同意の意思を表明。道の住民説明会や道議会の連合審査会も24日までに終わった。
一方、北海道電は10月、再稼働時の家庭向け電気料金の11%値下げを発表。泊原発の停止で基本料金・電力量料金の合計は最大1・64倍まで上昇しており、値下げのアピールで再稼働への機運を高めようと躍起になっている。道内の経済団体も早期再稼働を求める要望書を相次いで提出した。
一方で、鈴木知事は21日の定例記者会見では再稼働の判断時期について「総合的に判断したい」などと、従来通りの発言を繰り返した。ただ、道幹部は「知事がどっちつかずだと議論が進まない、との声が議会からあった」と明かす。
道は知事の判断を前に、立地4町村(泊村、共和町、岩内町、神恵内村)を除く後志(しりべし)地域16市町村に意見を照会している。25日正午時点で複数の自治体が未回答だったが、同意に向けて調整に入った。道幹部はその理由として「28日からの一般質問で答弁を一歩進める必要があった。世の中の動きは進んでいる。知事だけが変わらないのは通らない」と語る。
自民党のある道議は「東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の動きや国との関係を考えると、ベストタイミングだ」と歓迎。道内では高止まりが続く電気代への懸念も根強く、「早く表明することで道民を安心させられる」と指摘した。一方、立憲民主党の道議は「積極的同意ではなく『やむを得ない』という姿勢のようだが、世間の反応を気にしているためだろう」と冷ややかだ。【後藤佳怜、片野裕之】
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