竹中工務店などが工事現場向けロボットの地図システムを実証する様子

竹中工務店などは25日、工事現場で撮影や資材搬送を自動で担うロボット向けの地図システムを開発したと発表した。建物の図面や資材の仮置き場、ロボットの移動経路など異なる3次元(3D)の位置データを一体的に扱い、ロボットを運用することで現場の業務時間を3割減らす。建設現場の人手不足に対応する。

NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)とソフトバンクグループ傘下のアスラテック(東京・港)の3社で「ロボットナビゲーションシステム」を共同開発した。仮設工事や設備工事など複数の作業内容を図面上で共有するシステムと連携する。ロボットが現場を自動巡回する際に走行可能な範囲が分かりやすくなる。

工事現場は記録写真の撮影や搬送など移動の手間が多く、ロボットによる自動化が進む一方で、ロボット専用の図面データを作り込む手間が生じていた。刻一刻と変わる工事現場の現状を反映しきれず、ロボットが通れなくなって手動の遠隔操縦に切り替えることもあった。

今回開発したシステムでは3D空間を仮想の箱に分割する「空間ID」の仕組みを取り入れ、高い精度で図面データを統合した。竹中工務店の工事現場で実証したところ、他のロボットを新たに導入する際のコストも3割減らせることが分かった。

システムの使い勝手を高め、2027年にオフィスビルや倉庫など竹中工務店の工事現場での本格導入を目指す。計測や工事作業など組み合わせるロボットも増やす。他のゼネコンへの外販も検討する。

システムを活用すれば、工事の進行に応じて変化する3Dデータが集まる。これを基に作業手順を見直し生産性向上にもつなげる。竹中工務店技術研究所の神山和人主任研究員は「ロボットが通りやすくなるように資材の置き場を見直せる」と語る。

システムの開発は22年から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務として続けてきた。

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