佐賀大学の嘉数誠教授は通信分野などでダイヤモンド半導体を活用できると見込む(8日、佐賀市)

佐賀大学の嘉数(かすう)誠教授らは8日、次世代の「ダイヤモンド半導体」でデバイスを製作し、最大120ギガヘルツ(GHz)の電波を増幅できる特性を確認したと発表した。次世代通信規格「6G」の基地局や通信衛星など、高周波・高出力が必要な技術に対応できる。ダイヤモンド半導体の周波数としては世界最高クラスという。

電力制御に使う「パワー半導体」をダイヤモンドで造って実証した。周波数のうち3〜30GHzは携帯電話サービスなどに使う「マイクロ波」、30〜300GHzは大容量通信やレーダーなどに使う「ミリ波」と呼ばれる。嘉数教授らが製作したデバイスは120GHzまで電力を増幅できるため、両方の周波数帯に対応できる。

デバイスを約100個造って検証したところ、ほぼ全ての個体で120GHzの出力を確認した。電子ビーム描画装置を使うことで電極を微細化し、高周波を出せるデバイスを実現した。硬いダイヤモンド半導体を加工してパッケージング(封止)するため、独自の後工程技術も開発した。

2026年1月には企業などにダイヤモンド半導体のサンプルを製造販売する。複数の大手電機メーカーに提供予定という。嘉数教授は「技術が格段に高まっており、再現性も信頼性もある。(企業に)早く使ってもらいたい」と話す。

嘉数教授は23年、ダイヤモンド半導体を組み込んだ電子回路を世界で初めて開発した。ダイヤモンドはシリコンや窒化ガリウムなどの既存材料より大電力を制御でき、発熱や放射線にも強い。25年2月には新会社「ダイヤモンドセミコンダクター」(佐賀市)を設立し、商用化を目指している。

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