ルノーのフランソワ・プロボCEO㊨とフォードのジム・ファーリーCEO=ルノー提供

【パリ=北松円香】フランス自動車大手ルノーと同業の米フォード・モーターは9日、業務提携すると発表した。フォードは欧州市場向けにルノーの車体を使った電気自動車(EV)を生産する。商用車の分野でも協力を想定する。ルノーにとっては工場稼働率が高まる利点があり、フォードは提携をテコに欧州市場の戦略立て直しを目指す。

共同で新たに「フォード」ブランドのEV2種を生産すると合意した。フォードが設計し、生産は仏北部のルノーの工場で行う。2028年中の早い段階での発売を見込んでいる。商用車についても欧州市場での開発・生産協力を検討することで一致した。

ルノーのフランソワ・プロボ最高経営責任者(CEO)は9日の声明で、両社の業務提携が「急速に変化する欧州自動車市場でより革新的で素早い対応を可能にする」との見方を示した。フォードのジム・ファーリーCEOは協業が「効率的かつ未来に適応した欧州事業」の構築に役立つとコメントした。

ルノーは欧州市場でEV展開に力を入れてきたが、エンジン車からEVへのシフトは従来想定より遅れる見込みのうえ、中国メーカーとの競争にもさらされている。フォードとの提携で今後のEV事業での利益確保を狙っているとみられる。

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