NTTデータ子会社のNTTデータ北陸（金沢市）は、ネットワーク回線を複数の仮想的なネットワークに分割する「ネットワークスライシング（スライシング）」などの先端技術を活用して防災情報の安定伝送を検証する実証実験を行うと発表した。

NTTドコモビジネス（旧NTTコミュニケーションズ）、石川県輪島市と共同で実施する。輪島市役所前の駐車場に、米スペースXの衛星通信網「スターリンク」に接続した移動基地局車を準備し、能登半島地震の被災者が暮らす仮設住宅団地内の交流・福祉拠点「コミセンマリンタウンBASE」との間での映像伝送や防災情報伝達を検証する。

コミセンマリンタウンBASE側で疑似的に通信の混雑環境を作り出し、通常回線では通信が困難な状況でもスライシングを活用してリアルタイム映像伝送によるコミュニケーションや災害情報受信ができることを確認する。

またスターリンクによる通信回線確保の検証では、スターリンクを中継回線とした移動基地局車の通信を経由して、映像伝送や防災情報伝達を検証する。

災害時は通信回線の混雑や障害により、重要な情報伝達の通信や関係者間の通信が不安定になることがある。また通信キャリアの無線基地局に接続している光ケーブルなどの通信回線が切断され、周辺地域が通信圏外となり防災情報を伝達できないこともある。

これらの課題に対し、通信の安定化技術であるスライシングと、移動基地局車やスターリンクを組み合わせることで、映像伝送や音声伝送の安定した通信品質を確保し被災地の迅速な救助や円滑な復興作業を支援する。

今後は、今回の実証で得られる知見を基に「空飛ぶ基地局（HAPS）」などの技術も活用して災害時の通信インフラ強化や防災情報伝達の高度化を目指す。

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