
住友重機械工業は、液化空気を気化させた際に生じるエネルギーで発電機を回す商用実証プラントの稼働を広島ガス廿日市工場(広島県廿日市市)で始めた。再生可能エネルギーは天候などで発電量が変動することが欠点だ。再エネ普及で電力の需給調整の必要性が高まるなか、液化空気による発電でニーズをとらえたい考えだ。
「液化空気エネルギー貯蔵(LAES)」と呼ばれる技術で、長時間の電力貯蔵に適しているとされる。普及が進む蓄電池と比べるとこまめな充放電ができる点に特徴がある。
再エネの中でも太陽光発電や風力発電は天候や時間帯によって発電量の差が大きい。電力は需要と供給を常に一致させなければ停電が起きる。蓄電池などで需給を調整する必要があり、LAES技術を商機につなげたい考えだ。
LAESでは、電力の需給バランスが崩れそうになった時に液化空気を気化させて発電タービンを回す。広島ガスが廿日市工場で保存するマイナス約160度の液化天然ガス(LNG)を活用し、空気を冷却して液化している。液化した空気は体積が700分の1になり、保存が容易だ。
実証プラントは1日に稼働した。20メガワット時を蓄電でき、卸電力市場で売電している。
9日の竣工式に出席した住友重機械の下村真司社長は「再エネが拡大するほどにLAESの活用の範囲は広がるはずだ」と話した。2030年には大手電力などから約500億円の受注をめざしている。
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