日銀の植田和男総裁は9日、円安で輸入物価が押し上げられて物価上昇(インフレ)が進む可能性が高まった場合は「政策調整する必要がある」と述べた。日銀内では円安進行に伴うインフレ懸念が強まっており、18、19日の金融政策決定会合での追加利上げを示唆したとみられる。
植田氏は、現時点で急激なインフレが起きるリスクは小さいとの見方を示したうえで「為替相場の弱さが予想以上に長期化し、インフレ期待を押し上げるような事態になれば状況が変わり得る。この可能性を注意深く監視している」と説明。そうなった場合は「政策調整の必要がある」と述べ、円安を理由にした追加利上げの可能性を明言した。
「為替相場の変動がインフレ見通しに与える影響は、我々にとって極めて重要な問題だ」とも強調し、円安が金融政策を決める上で重要な判断材料になるとの認識を示した。英紙フィナンシャル・タイムズのオンラインイベントで述べた。
外国為替市場では、高市早苗政権の財政拡張策などを背景に対ドルで円が売られている。植田氏は1日の講演でも12月会合での利上げに前向きな姿勢を示していた。【大久保渉】
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