自民党と日本維新の会は18日、防衛力強化の財源確保に向けた所得増税を2027年1月から実施することで合意した。維新は野党時代に増税に反対した経緯があり、直前まで賛否が分かれていたが、厳しい安全保障環境にあることを重視し、賛成に転じた。19日に策定する与党税制改正大綱に盛り込む。
自民が検討した案は、復興特別所得税(税率2・1%)のうち1%を新たな「防衛特別所得税」(仮称)に付け替えるもの。足元の家計負担は変わらないが、当初37年までとされた復興特別所得税の課税期間が47年までに延長されるため、事実上の負担増となる。
維新の税制調査会内では、防衛財源確保への理解を示す意見が出る一方で、「昨年まで防衛増税に反対してきた。歳出改革を含めて(財源を)確保すべきだ」などと所得増税に慎重な意見も出ていたが、最終判断は梅村聡税調会長に一任されていた。
両党の税調会長は18日に国会内で協議。梅村氏は終了後、記者団に対し「今の厳しい安全保障環境を考えた上で、しっかり取り組みをしていく」と述べ、容認する考えを示した。
防衛増税を巡っては、22年末に当時の岸田文雄政権が、将来の財源を確保するために法人、所得、たばこ3税を段階的に引き上げ、27年度までに1兆円超を確保する方針を閣議決定。法人とたばこの2税は26年4月の増税開始が決まっていた。だが、所得税については、「年収の壁」の引き上げで税負担の軽減を目指す中、与党内で増税への慎重論が出て、昨年まで見送られてきた。【妹尾直道、井口彩、東久保逸夫】
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