釧路湿原国立公園に近い市街化調整区域で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の計画が相次いでいる問題で、大阪市の事業者が22日、北海道釧路市昭和の民有地で、メガソーラーのパネル設置に先立つ樹木の伐採を始めた。この場所は地元町内会が計画に反対を表明している。
樹木の伐採が始まった場所の近くの湿原では、1995年に環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で市の天然記念物・キタサンショウウオの生息が確認されている。市博物館がキタサンショウウオや希少鳥類の調査が不十分だとして、事業者に再調査を求めていた8カ所のうちの一つ。
近くの住民によると、伐採が始まったのは22日午前7時ごろ。午前中に10本以上が伐採され、樹高がひときわ高く、天然記念物のオジロワシがよく止まり木にしているという木も切られた。
大阪市の事業者は約2ヘクタールの民有地に出力1250キロワットの太陽光パネルを設置する計画。市内などで計12カ所の計画を進めており、同社は「12カ所すべて年内に着工する」と表明していた。
樹木が伐採された予定地近くの湿原でキタサンショウウオの生息が確認されていることについて、同社は「30年前に確認されたといっても、いま生息しているとは限らない」と主張。予定地での今春の再調査などの結果、「確認されなかった」として、再調査の求めには応じない姿勢を示していた。
地元町内会の関係者は「伐採は残念だが、パネルが設置されるまで抗議はやめない」との構えだ。現地に駆けつけた道議会で環境生活委員長を務める田中英樹道議は「工事に着手したという形を取りたいのだろう。すぐに中止命令を出すべきだと道庁に伝えた」と話した。【本間浩昭】
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