インタビューに答えるローソンの竹増貞信社長=東京都品川区で2025年12月16日、佐久間一輝撮影

 ローソンは2026年6月、コンビニエンスストアを拠点としたまちづくり「ハッピー・ローソンタウン」構想の1号店を大阪府池田市に出店する。竹増貞信社長は毎日新聞の取材に応じ、人口減少などで衰退するニュータウンを再生させる中核施設として、同様の店舗を30年までに全国100カ所で展開する方針を明らかにした。

 全国約2000地区のニュータウンは、多くが1960~70年代の高度経済成長期に開発された。半世紀余りたって住民の高齢化が進み、住宅施設の老朽化、人口減少に伴う空き家や「買い物弱者」の増加など、多くの課題を抱えている。

 こうしたなか、ローソンとKDDIは12月5日、池田市と包括連携協定を締結。同市伏尾台のニュータウンに、災害支援や地域交流、住民向けサービスの機能を備えた店舗を出す計画を進めている。

 店舗には、生鮮品や総菜の売り場のほか、医師や行政サービスにオンラインでつながる「Pontaよろず相談所」も導入。災害時の支援拠点となることを想定し、太陽光発電や蓄電池、衛星通信の設備を整える。オンデマンド交通やドローン配送などの実証実験の実施も検討するという。

 竹増氏は「単に出店して終わりではなく、ローソンがさりげなくいることで『街が明るく、楽しくなった』と言ってもらえるようにしたい」と語った。

 ローソンでは従来、朝と昼をピークに、おにぎりや弁当、お茶などを販売していたが、コロナ禍の「巣ごもり」で近場のコンビニへの消費者ニーズが拡大。現在では靴下や下着、洗顔料など日用品全般を取り扱う。スーパーがない過疎地域などでは野菜や肉も販売し、総菜や冷凍食品の品ぞろえも強化している。

 また、介護相談窓口を併設した店舗やOTC医薬品(処方箋なしで買える市販薬)を取り扱う店舗も展開するほか、保育施設や映画館も手がけている。竹増氏は「今までの単独のコンビニから『安心』も含めて提供していけるようになってきた」と述べ、グループの知見を生かしてまちづくりに関わっていく考えを示した。【鴨田玲奈】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。