外国為替市場で円安圧力が止まらない。日銀が約1年ぶりに追加利上げに踏み切ったにもかかわらず、円高へ反転させる効果がなかったことになる。政府高官からは円安をけん制する発言が相次ぎ、市場では為替介入が意識され始めた。
22日の東京外国為替市場で、円相場は1ドル=157円台前半から半ばで推移した。一時158円に迫った19日からはやや円高に振れたが、147円台だった10月上旬に比べればかなりの円安水準だ。
日銀は18、19日の金融政策決定会合で、30年ぶりの高水準となる0・75%程度への利上げを全会一致で決めた。利上げすれば日米の金利差が縮小して円が買われるのがセオリーだが、逆に円が売られる展開となっている。
原因は植田和男総裁の発言だ。植田氏は会合後の記者会見で「(経済や物価情勢に応じて)引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する」と述べ、利上げを続ける考えを示した。しかし市場では「金融引き締めに積極的な『タカ派』的な発言はなかった」と受け止められた。会見後、円相場は一時1ドル=157円台後半と2円程度急落。週明け22日も、円安の流れに変化はなかった。
円安は輸入物価の上昇を招き、国民生活を圧迫する物価高(インフレ)を助長しかねない。木原稔官房長官は22日の会見で「足元では一方的な動きも見られ憂慮している。政府としては投機的な動きも含め、行き過ぎた動きに適切に対応する」と述べ、円を買ってドルを売る為替介入をちらつかせて市場をけん制した。通貨政策を担う財務省の三村淳財務官も同日、記者団に同様の発言をした。
財務省は2024年7月、1ドル=161円50銭前後まで円安が進んだ時点で円買い介入に踏み切った。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「介入の前触れとなる政府の『口先介入』が始まった。1ドル=160円程度が介入実行のラインになるのでは」と指摘する。
一方、22日の国債市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが上昇(価格は下落)し、一時2・1%台に達した。日本相互証券によると、1999年2月以来、約27年ぶりの高水準。日銀が、緩やかなペースとはいえ、今後も利上げを続けるとの見方から金利上昇圧力が強まった。国の財政悪化懸念も国債売りを誘発しているとみられる。【古屋敷尚子、大久保渉】
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