鈴木憲和農相は23日の閣議後記者会見で、秋田県が2023年産の県産米の生産方針を巡って農林水産省から増産しないよう「圧力を受けた」とされる件に関し、当時の担当者から聞き取った内容を明らかにした。当時の担当者は「圧力をかけた認識はない」と否定しているという。
鈴木氏は問題が起きた当時、新型コロナウイルス禍で消費が振るわず、主食用米の民間在庫量が全国的に膨らんで供給過多の状況だったと強調。当時の担当者からは「秋田県に限らず、各都道府県と県産米(など)の需要を考慮した上で、どのようにコメの生産を進めるのかという観点で意見交換をしていた」との説明を受けたという。
ただ鈴木氏は、意見交換での秋田県側の受け止めについて「(増産阻止の)圧力と受け止められるようなやり取りがあったとすれば、私としても非常に不本意であり、あってはならないこと」と述べた。
農水省によると、鈴木氏から再発防止の指示はあったが、同様の事例が他の都道府県でも起きていないかの調査は実施する予定はないという。
農水省は18年産米から個々の農家に対する生産数量目標の配分をやめて減反政策を廃止した。それ以降は生産現場に示す翌年の需給見通し(目安)を基に、産地や生産者が作付け量を自ら判断する「需要に応じた生産」を推進してきた。
だが秋田の地元紙が17日、県内の23年産米について農水省側が増産しないように要求し、県側は圧力に感じていたとして「減反廃止は名ばかりだった」などと報道。秋田県の担当者は毎日新聞の取材に対し、地元紙の報道について明言を避け、「事実関係を確認中」と説明している。【中津川甫】
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