
UBE三菱セメント(東京・千代田)は23日、2027年3月末をめどに九州工場苅田第二地区(福岡県苅田町)でのセメント生産を停止すると発表した。セメント生産は第一地区(同)に集約し、第二地区は廃プラスチックなどをリサイクルする拠点に切り替える。国内のセメント需要の低迷や海外輸出の採算悪化に対応する。
九州工場苅田第二地区は1964年に稼働し、約150万トンの生産能力を持つ。同社の24年度のセメント生産能力は1252万トンで、同地区の生産停止により約12%の能力削減となる。同社全体の工場の稼働率が85%と低下していたため、生産を集約し効率化を図る。同地区の従業員98人はリサイクル拠点での勤務か配置転換を行う。
苅田第二地区を転換してできるリサイクル拠点では、既存の廃プラスチックの破砕や異物除去の設備を活用して様々な廃棄物処理を手がける予定だ。処理した廃棄物は、セメント生産を続ける苅田第一地区で使う熱エネルギーなどに活用する。
セメント生産では原料の焼成などで二酸化炭素(CO2)を大量に排出するため、UBE三菱セメントはエネルギー転換を進めている。30年までに50%を廃プラなどの廃棄物で代替する計画を掲げている。
建設工事の遅れなどで国内のセメント需要は年々低下している。25年度のセメント需要は当初想定した3200万トンを割り込む見通しだ。海外輸出は中国の過剰生産の影響で東南アジアなどを中心に採算性が低下している。UBE三菱セメントは今後、収益性の低い海外輸出は縮小する方針だ。
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