
量子科学技術研究開発機構(QST)は23日、茨城県那珂市に建設した核融合実験施設「JT-60SA」に中核部品となるプラズマ制御装置の設置が完了したと発表した。三菱電機と製作した装置で、2026年以降に実施されるプラズマを発生させる実験に活用する。
装置はプラズマを安定に維持する位置制御コイルだ。直径8メートルの銅製で、真空容器内の壁面に上下2本設置した。1本あたり約600メートルの銅線を約20周させて設置しており、精密に円形になるよう設置場所やコイルの形状などを誤差2ミリメートル以下に抑えている。
核融合発電は燃料となる原子同士を融合させ、その際に発生した膨大なエネルギーを熱に変えて発電に利用する。具体的には燃料をセ氏1億度まで加熱してプラズマ状態を作り出す必要がある。プラズマは非常に不安定で、長時間維持することが難しい。

プラズマは高温高圧になると、上下に振動したり、形状が変化したりして、崩壊する場合がある。今回設置した制御コイルは発生させたプラズマの形状が壊れないよう防ぐ役割を担う。QSTの伊藤久義理事は「国際競争が増すなかでコイルの設置は大きな一歩だ」と述べた。
JT-60SAは改修を経て20年に完成した世界最大の「トカマク型」の核融合実験装置で、コイルをドーナツ状に並べて磁場をつくる。23年に初めてプラズマの発生させることに成功した。より高温高圧なプラズマを長時間発生させて制御するために、24年から加熱装置などの増強工事を進めてきた。増強工事は26年に完了する見込みで、同年末までにプラズマを実際に発生させる。研究成果は国際協力でフランスに建設が進む核融合実験炉ITERに活用する。
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