上場企業のIR体制の整備にはなお課題がある

日本IR協議会は26日、投資家向け広報(IR)活動の整備に関する上場企業への調査結果を発表した。東京証券取引所が7月のIR体制の義務化を要請する中で「IR体制が整っている」と回答した企業は50%だった。時価総額によって対応に差があるなどで水準はなお低く、今後、一段の取り組み強化が欠かせない。

「IR活動の整備に関するアンケート調査」を7月2日から25日に実施した。同協議会の会員の上場企業630社に調査票を送付し、全体の43%にあたる272社から回答を得た。

調査対象のうち、IRの器となる専任部門を置いている企業は76%あった。時価総額1兆円以上の大型株で98%、1000億円以上1兆円未満の中型株で78%に達し、企業のIRへの意識は高い。一方で1000億円未満の小型株で59%となり、時価総額が小さい企業では低く、差があった。

IR情報の開示や、IR部門と経営の連携など機能面については課題が浮かんだ。東証は7月、IR担当の役員・部署を置き説明会や資料の充実を求めるなどIR体制の義務化を要請した。これを踏まえ、企業に取り組みの有無を聞くと「すでにIR体制は整えているのでとくにない」との回答が50%だった。なお半分が体制を十分に整備できていないと認識している。投資家は企業のIR活動の量や質を重視しており、なお対応は強める必要がある。

また取り組みがある、とした企業からは「IR担当者に必要なスキルなどをふまえ、育成する」と回答が37%、「IR体制の見直し」が11%あった。

日本IR協議会の佐藤淑子専務理事は「中小型株は証券アナリストのカバーが低いことなどから、IRを強化しても評価につながりにくく、経営層の動機付けが難しい」と指摘する。その上で「中小型株の企業はまずは的確な情報開示で関心を集めること、大型株の企業は日本株に期待する海外投資家へのアプローチや経営トップによる対話の充実などが必要だ」と話した。

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