ガイドブックの第3号「ぼくらの福島案内紀行」の表紙=ユニークのインスタグラムから

 福島市に暮らす20代の若者4人が運営しているウェブマガジン「YOUNiiiiQ(ユニーク)」が、若者の視点から福島の街の魅力を掘り起こし紹介するガイドブック「ぼくらの福島案内紀行」を自費出版した。4人は県外での進学や就職の後Uターンを経験しており「福島をいったん離れたからこそ気付いた街の良さを同世代に伝えたい」と意気込む。

 ユニークは、新潟の大学を卒業後に福島市の広告代理店でライターを務める伊藤愉快さん(27)らが、中心街で斎藤友希さん(29)が経営していたカフェを訪れていたのが始まりだった。福島を出た同年代の多くが「福島には何もない」と言っていた。だが実際に戻ってみると、若い時には気付かなかったさまざまな魅力があった。自然、食、人々、そして街の奥深さ――。

 「外に出た人に『帰ってもいいかも』と思ってもらいたい。そして今、福島にいる若い世代に街のことについて考えるきっかけを持ってほしい」と2022年7月に「ユニーク」を結成した。ライティングやウェブデザイン、グラフィックデザイン、映像制作など4人のスキルを持ち寄り、ウェブサイトや「ZINE(ジン)」と呼ばれる自由な冊子で情報発信してきた。

 ガイドブックは23年11月に第1号を出版した。JR福島駅前は、長年親しまれた百貨店の中合福島店が2020年に閉店して人通りが減ってしまったが「歩いて楽しめる魅力的な街はある」と、人気の飲食店や個人店が出始めていた森合地区を特集した。24年11月の第2号は「街人」と題して、街づくりに取り組んできた人々や街の歴史を紹介する。

ガイドブックで福島市の街の魅力を紹介する(右から)伊藤愉快さん、斎藤友希さん、デザイナーのごしまさん=同市置賜町で2025年12月24日午前10時7分、錦織祐一撮影

 「ぼくらの福島案内紀行」は第3号。「これまでは福島に縁のある人向けだった。外から人を呼び込む視点も必要」と50人の市民らにそれぞれが魅力を感じるスポットの紹介文を寄稿してもらい「日常生活の延長線上にある『点』を、読んだ人が自由に『線』につなげて街の広がりをつくってほしい」と願う。

 伊藤さんらは「福島の街の魅力は人のぬくもりを感じられるところ。決して観光地ではない、暮らしの中にある魅力を伝えたい。そのきっかけを提案できたら」と強調する。

 問い合わせはサイト(https://youniiiiq.com/)へ。【錦織祐一】

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