
サイバー攻撃はアスクルに深刻な影響を与えた。10月のランサムウエア(身代金要求型ウイルス)感染後、通販サイトを全て停止した。2025年11月度の売上高は前年同月比95%減となったほか、個人情報は70万件以上流出した。1月中にも個人向けサイトが復旧して全サイトが再開するが、被害の全容解明には至っていない。これまでの主な動きをまとめた。
25年12月 アスクル社長が語ったサイバー攻撃の内幕 ロハコ「1月にも再開」

アスクルは2025年12月17日、物流システムの稼働を再開し、都内の物流センターを報道陣に公開した。吉岡晃社長は同日までに日本経済新聞の取材に答え、「個人向け通販を2026年1月にも再開する」と明らかにした。法人向けに加え、同社が手掛ける通販サイトが全て再開することになる。吉岡社長が取材に答えるのは10月のサイバー攻撃以降、初めて。
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25年12月 サイバー攻撃での情報漏洩は74万件 侵入に4カ月気づけず
アスクルは10月のサイバー攻撃によって顧客や社員などの個人情報が74万件流出したと発表した。攻撃者は6月にはシステムに侵入しており、被害発生まで覚知できていなかったことも明らかにした。再発防止に向け24時間365日の監視体制を敷くことなども決めた。この日、個人情報保護委員会に経緯を報告した。
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25年12月 法人向け通販サイトを再開 全顧客が注文可能に

アスクルは3日、サイバー攻撃を受けて停止していた法人向け通販「ASKUL」を再開したと発表した。これまで大企業や一部法人に限ってファクスなどで受注していた。全ての顧客がウェブサイト経由で注文できるようにした。
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25年12月 サイバー攻撃で11月売上高95%減 6〜11月決算開示を延期
アスクルは12月15日に予定していた2025年6〜11月期の決算開示を延期すると発表した。サイバー攻撃で通販サイトの受注を停止し、被害額の算出に時間がかかるためとしている。11月度の売上高は前年同月比で95%減と影響は深刻になっている。
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25年11月 影響長期化で中小病院が逼迫 インフル流行も医療品在庫不足

アスクルがサイバー攻撃を受けた影響で、同社から医療向け用品を調達していた医療現場が逼迫している。インフルエンザが異例の早さで流行期に入る中、消毒液やマスクなどの在庫が切れつつある。営業時間の短縮や新規の訪問看護依頼を断ることを検討する事業者もいる。長期化すれば十分な医療が受けられなくなる可能性がある。
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25年10月 個人情報の流出を確認 被害は物流部門に集中
サイバー攻撃を受けたアスクルで、被害が物流システムに集中していることが分かった。取引先の企業やユーザーの個人情報の流出も確認した。近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)化でシステムが複雑になっており、業務再開の見通しを立てるのも困難な状況だ。
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25年10月 サイバー被害のリスク認識 物流委託で飛び火しやすく

アスクルで発生したサイバー攻撃によるシステム障害の影響が広がっている。同社だけでなく、アスクルに物流を委託する「無印良品」や生活雑貨のロフト(東京・渋谷)の通販サイトも停止した。企業は近年、物流効率化に向けて共同配送や第三者への委託を増やす場合が多く、サイバー攻撃が重大な経営リスクになっている。
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25年10月 アスクル、ランサムウエアでシステム障害 復旧見通し立たず

アスクルはランサムウエアに感染し、システム障害が発生したと発表した。システムの復旧見通しは立っていない。個人情報や顧客データなどの外部への流出については調査を進めている。
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