人工知能(AI)の話題が絶えなかった2025年。進化するAIはデジタルの世界を飛び出し、リアルな空間でも活躍を始めました。AIが頭脳となりロボットや機械を「体」として使う組み合わせは「フィジカルAI」と呼ばれ、投資テーマとしても注目されます。26年を展望する記事を集めました。(内容や肩書などは掲載当時のものです)

ファナックと安川電機、産業ロボ2強がAIに本腰

産業用ロボットで世界首位を争うファナックと安川電機がそれぞれ、自社のロボットでAIを本格的に活用する方針を打ち出しました。米エヌビディアなどと組み、周囲の状況をリアルタイムで認識・判断して動くロボットを開発しています。工場などでロボットと一緒に作業をする日が近づきつつあります。

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本命はヒト型ロボ、日本連合は27年に量産へ

フィジカルAIの本命と期待されるのがヒューマノイド(ヒト型ロボット)です。従来の産業用ロボットとは桁違いの需要が生まれるとされ、米モルガン・スタンレーは50年に10億台以上のヒト型ロボットが使われると予想します。開発や販売で先を行く中国企業が日本に進出するほか、日本企業による連合も27年の量産を目指しています。

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課題は安全性、ロボ普及のハードルに

課題もあります。協働ロボットを長く手がける米テラダイン・ロボティクスのジャンピエール・ハサウト社長は今のヒト型ロボットの開発競争について「安全性が最も重視されているわけではない」と警鐘を鳴らします。本格的な普及には、ロボットを安全に使えるようにするための技術開発や規制の整備も欠かせません。

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政府も基本計画を策定、日本の強み生かす

米国や中国をはじめ世界で開発競争が進むなか、25年12月には日本政府がAIの開発・利用に関する基本計画を策定しました。フィジカルAIについて、高市早苗首相は「日本の製造業やサービス業が積み重ねてきた強みがある」と強調しています。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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