
【ニューヨーク=西邨紘子】米農機大手のディアが14日発表した2025年5〜7月期決算は、売上高が前年同期比で約9%減の120億1800万ドル(約1兆7800億円)、純利益は同26%減の12億8900万ドルだった。需要伸び悩みで販売価格が下落しており、トランプ関税による想定負担額も引き上げた。
調整後の1株利益は4.75ドルで、前年同期(6.29ドル)を下回った。市場予想(4.58ドル程度)は上回った。
ディアは年間の関税コストを6億ドルと見積もり、従来予想の5億ドルから引き上げた。欧州と鉄鋼への米関税引き上げが負担増の主な要因と説明した。
事業別の売上高は大型農機を含む「生産・精密農業」部門が16%減の42億7300万ドル、「建設・林業機械」が5%減の30億5900万ドルだった。営業利益は両部門がそれぞれ前年同期から5割程度、落ち込んでいる。
トランプ米政権の関税政策を受けてカナダをはじめ米国外で需要が減少しており、米中古市場との競争激化による販売価格の下落も収益を圧迫した。「小型農機・芝刈り機」は1%の減収にとどまった。
2025年通期の見通しは純利益で47億5000万〜52億5000万ドルとし、前回発表(47億5000万〜55億ドル)から予想範囲の上限を引き下げた。
ディアのジョン・メイ最高経営責任者は「在庫の積極的な管理により、顧客の需要に合うよう供給の調整を進めた」と説明。今後、新技術を使った農機の売り込み拡大や生産効率引き上げなどで、利幅改善に取り組む姿勢を示した。
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