海外のデザイン賞を受賞した「ichi-clip」=福岡市中央区で、玉城達郎撮影
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 書類を留める文具でおなじみのクリップが、海外で高い評価を受けた。開発したのは文具メーカー、ではなく、乾燥食品の開発製造や販売を手掛ける宮崎市佐土原町の会社だ。

 「ichi―clip(イチクリップ)」は長さ2・5センチ、重さが0・2グラムで従来品の約3分の1まで軽量化した。ステンレス製の1本の細い棒を曲げたシンプルな形だ。

 はさみのように端が開いている方で紙の束を挟んで押し込む。するとクリップは数字の「1」に見える形に。クリップが反転して紙を押さえる力が増し、1本でコピー用紙50枚、長さ6センチのワイドサイズなら約100枚をまとめることができる。

 商品名は、その見た目と、製作した会社「フードマーク」の広本秀一代表(58)の名前に由来する。2025年10月、欧州のデザインアワード「BIG SEE Product Design Award」のプロダクトデザイン部門賞でグランプリを受賞した。同部門でのアジアからの受賞は初めてという。

 乾燥食品を扱う会社が、なぜクリップなのか。きっかけは新型コロナウイルス禍だ。本業の売り上げが9割減となり「賞味期限がないものを」と考えた。広本代表は自らが好きな文房具の世界に目を向けた。

「ichiーclip」はノーマル(下、長さ2・5センチ)で約50枚、ワイド(上、長さ6センチ)で約100枚のコピー用紙を挟める=福岡市で、井上和也撮影
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 創業当初から「ありそうでなかったものを形にして、お客さまに小さな驚きを提供する」との目標を掲げる。糸切りばさみのように先が開き、1回の動作で紙を挟む機能は、もともと温めていたアイデア。見た目や耐久性などを試行錯誤し、21年に商品化した。

 22年に国内でグッドデザイン賞を受賞し「環境への配慮と審美性、機能性を同時にかなえ画期的」と評価された。続く欧州での栄誉は、創業10年の節目の出来事。アワードの主催側から「(歴代)受賞作の中で最も小さい」と賞賛を受けた。

 「人によって全然違うアイデアでクリップを使うと思う」と広本代表。「今後どう進化し、発展していくかは、どれだけたくさんの人の手に渡るかによって変わる」と可能性に期待する。【井上和也】

フードマーク

 2015年創業。売り上げは乾燥食品が9割、イチクリップが1割。イチクリップは月に約2万本を販売し、ノーマルは40本792円、ワイドは1本165円。オンラインでも販売。直営店「ひなたの商店」(070・9047・6903)。

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