福岡県の服部誠太郎知事は毎日新聞の新春インタビューに応じ、最先端技術を用いたスマート農業推進など産業育成に取り組む他、今後の空港政策について語った。【聞き手・宗岡敬介】
――県は自動車などの分野で脱炭素化に向けた「グリーン成長プロジェクト」を推進しているが、電気自動車(EV)について今後どのように取り組むか。
◆2025年は日産自動車が北九州市で進めていたEV向け電池工場の建設計画が白紙になり、トヨタ自動車も苅田町で建設を計画しているEV向け電池工場の事業計画を見直すことになった。EVの普及スピードが鈍化している。世界的に見てバッテリー在庫が過剰になっており、現状を踏まえて両社とも判断されたのだろう。
ただ、将来的に「BEV(バッテリー式電気自動車)」が主流になる見立ては変わっていない。日産自動車が追浜工場(神奈川県)での車両生産を日産自動車九州(苅田町)に移管・統合すれば、ほとんどの製造能力は苅田町になる。トヨタ自動車も苅田町は「非常に重要」と話しており、良い計画が出てくることを期待している。
――県内を見ると福岡市の人口集中が目立つ。県全体が発展するための今後の政策をどう考えるか。
◆明らかに人口が増加しているのはほぼ福岡都市圏だ。福岡市が発展し、その元気が各地に波及することは良いことだと思う。福岡市の通勤可能エリアであればベッドタウンとしての機能が強くなるところもある。ただ、さらに遠隔地や交通が不便な自治体は消滅してしまう可能性があり、それではいけない。
必要なのは県内各地に産業があり、働く場があるということ。その一つが農業で、若い人が参入してもうかる、夢のある産業にしなければならない。そのために企業型経営を推し進め、生産性を向上させるためにスマート農業を導入する。製造業などを含めて中小企業を支えて元気にしていく。
――交通政策について、福岡空港は第2滑走路の供用が25年に開始されたが、発着枠はほぼ上限に達している。福岡空港の将来的なビジョンは。
◆空港機能の向上をさらに図っていかなければならない。離着陸回数を1時間あたり45回程度に増やすことは技術的に可能だと思う。ただ、(滑走路の)進入方法の変更など解決すべき課題の他、地域住民の生活環境を守る前提の上で話を進める必要がある。空港への交通アクセス改善も取り組まなければならない。
また福岡空港はこれだけ需要があり、貨物専用便を飛ばす隙間(すきま)がないなど対応しきれない問題もある。北九州空港の滑走路を3000メートルに延伸することが進められているが、完成すれば大型貨物機が北米などと結ぶ便の就航も視野に入る。福岡空港と北九州空港の役割分担と相互補完、これをうまく進めることが空港政策に課せられた課題だ。
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