米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を支持する主要な中央銀行総裁の共同声明に、日銀の植田和男総裁は署名しなかった。米司法当局によるパウエル氏への捜査は、利下げを求めるトランプ米政権による「脅迫」(パウエル氏)との見方が支配的で、中銀の政治的独立を脅かす深刻な事態。トランプ政権との対立を避けるための判断とみられるが、専門家からは「残念だ」との声が上がる。
日銀の広報担当者は14日、植田氏が署名しなかったことについて「他国の中央銀行などへの対応についてはコメントをすることは差し控える」と述べた。共同声明に加わるかどうか事前に声がけがあったかや、今後改めて署名する可能性については回答しなかった。
日銀内では「トランプ氏の行動は中銀の独立性を脅かす。日銀総裁は問題視すべきだ」(幹部)との声も上がっていた。
だが、パウエル氏を支持する共同声明はトランプ氏を刺激しかねず、植田氏が参加すれば日銀のみならず日本政府に怒りの矛先が向かう恐れがある。このため「他国の判断には口出ししない」との原則を曲げなかったとみられる
日銀の審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「各国の中銀総裁は『政治からの独立』を共通課題に仲間意識を持っており、心情的にはパウエル氏を支えたいと思っているはず。だが海外の中銀に比べ日銀は政治にかなり配慮する傾向があり、植田氏が『参加したい』といっても事務方が止めただろう」と分析。「『トランプ氏の怒りを買って高市早苗首相が批判されれば日銀の責任になる』と考えたとみられる。予想通りとはいえ残念だ」と述べた。
共同声明には欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁や英イングランド銀行(BOE)のベイリー総裁、韓国銀行の李昌鏞総裁ら11人が署名した。【古屋敷尚子】
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