農林水産省は27日、2026年度の農林水産予算の概算要求額を2兆6588億円とする方針を自民党の農林部会などに示した。昨年来のコメ価格高騰の要因としてコメ不足が明らかになったことから、生産性向上のため農地を集約する事業などの予算を増額。要求総額は前年度当初予算比17.1%増えた。
分散した農地を集約・大規模化して余力ある農家に貸し付ける農地中間管理機構(農地バンク)の機能強化などを含む事業には、161億円を要求する。前年度当初予算に計上された43億円の4倍近くに上る金額だ。
また、大規模化に伴う労働力不足への対策として、水を張らずに直接種をまく栽培方法などを支援する新事業に40億円を計上。デジタル技術を活用した収穫量調査の研究などにも新たに8億円を要求する。精度の甘さが指摘される統計への信頼を高めたい考えだ。
今回の概算要求は、取りまとめの過程で、コメの「増産」に関する表現に自民党農林族議員から慎重な意見が相次いだ。無秩序な増産で生産過剰になれば、米価下落を招くとの指摘で、コメ関連の予算の個別要求項目では「増産」の文言の使用を避けた。一方、重点事項に関する副題として「コメの需要に応じた増産実現予算」と銘打った。
コンバインで稲刈りをする農家=17日、千葉県印西市(EPA時事)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。