スーパーに並ぶビール

アサヒビールは15日、2025年10〜12月の売上高の概算が前年同期比2割弱減になったと発表した。9月に親会社のアサヒグループホールディングス(GHD)でサイバー攻撃によるシステム障害が発生し、商品の受注や出荷が滞った。忘年会需要に間に合わせ、12月3日にシステムによる受発注を再開したが、供給の正常化には至らなかった。

12月の売上高は約3割減で、ビール歳暮品などの品数を限定して販売したことも響いた。これまでは受発注システムが止まったなか、現場では手作業で対応し、10〜11月の2カ月間の累計売上高は2割弱減だった。毎月開示していた国内ビール類飲料の販売実績は正確なデータの集計ができないとし、4カ月連続で公表を見送った。

足元では主力ビール「スーパードライ」を始め、平常時の売上構成比の8割以上に相当する商品は供給できるようになった。残りの商品もほとんどが1月末から4月にかけて再出荷のメドがたったとしている。

アサヒGHD傘下で清涼飲料を扱うアサヒ飲料の12月の売上高は前年同月比3割程度減少した。食品事業のアサヒグループ食品は約1割減った。両社はともに12月上旬にシステムによる受発注を再開した。10〜12月の売上高はそれぞれ前年同期比約3割減、1割弱減だった。

アサヒビールを除く大手3社の25年の国内ビール類飲料の販売実績について、各社が15日までに発表したデータを独自に集計した。3社合計のビール類の販売数量は前年比3%減だった。アサヒは公表を見送ったが、4社合計でもマイナスは確実とみられ、3年連続で前年割れになる見通し。

3社合計のジャンル別ではビールが2%増で、発泡酒や第三のビールを合わせた「エコノミージャンル」は7%減だった。26年10月の酒税改正に伴うビール減税をにらんで各社は25年にビールの主力ブランドの商品開発やマーケティング活動に注力した。

主要ブランドをみると、キリンビール「一番搾り」は新商品「ホワイトビール」の好調が寄与し、ブランド全体で4%増だったほか、サッポロビール「黒ラベル」は体験・販促イベントが奏功して4%増えた。サントリーでは高価格帯の「プレミアムモルツ」が値上げなどで販売が落ち込み7%減と苦戦した一方、標準価格帯の「サントリー生ビール」は4%増だった。

企業別ではサントリーが1%減、サッポロも1%減だった。金額ベースで公表しているキリンは微増だった。

3社が15日までに発表した25年12月の国内ビール類飲料の販売実績を独自に集計したところ、3社合計のビール類の販売数量は前年同月比2%増だった。年末年始に大型連休があったことで家庭向けと飲食店向けでともに伸びた。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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