米国のLNG輸出は拡大が見込まれる(キャメロンLNG)

三菱商事は16日、米国で天然ガスを開発するエーソンを買収すると発表した。負債引き受けを含めた買収額は約1.1兆円で、三菱商事で過去最大の買収案件となる。トランプ米政権は業界支援を明確にし、ガスの輸出規制を緩和してきた。発電量が増える新興国のガス需要拡大などを見据え、大型投資に踏み切る。

エーソンの全株式を52億ドル(7800億円)で取得する。株式の取得完了は2026年4〜6月期ごろまでを見込む。

同社はテキサス州ダラスに本社を置き、石油メジャーなどに属さない非上場の独立企業。同州東部とルイジアナ州西部にまたがるヘインズビル盆地で、地中深くの硬い岩盤層にあるシェールガスを開発している。同盆地は有望な産地で、液化天然ガス(LNG)輸出基地が集積するメキシコ湾に比較的近い長所がある。

三菱商事は天然ガスを採掘して液化させ、発電所に燃料として供給する一貫戦略を進めている。マレーシアやオーストラリアなど5カ国では上流のガスと液化で権益をもつが、米国では液化事業のキャメロンだけだ。エーソンの買収で、LNGの輸出に加え、米国内でもガスの販売が可能になる。米国で総合的にガス事業を展開し、収益源を広げる。

新興国で経済成長に伴い電力需要が増えるなか、再生可能エネルギーを補う発電手段などとしてLNG市場は世界的に伸びる見通しだ。英シェルによると、世界のLNG需要は、年間6億3000万トンから2040年までに7億1800万トンに達すると予想される。

トランプ米大統領はLNGの新規輸出に規制をかけたバイデン前政権と打って変わり、業界支援を明確化。次々に新規輸出の許可を出している。LNG輸出は貿易赤字の縮減策の有望な一手とみて、アラスカのLNG開発を進める方針も打ち出した。

米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)などによると、LNGの国別輸出量(23年)は米国、オーストラリア、カタール、ロシア、マレーシアの上位5カ国で全体の約75%を占める。米国は掘削技術の向上により、2010年代にシェールガスの生産量を飛躍的に増加させ、輸出量を急増させてきた。

三菱商事はLNGの生産能力では日本企業最大で、世界全体で年1490万トンを持ち、30年代前半に1800万トンに増やす方針。6月に出荷を始めたカナダの新規事業と、米キャメロンLNGでは増産投資を視野に入れている。

同社のエネルギー部門の純利益は26年3月期は前期比20%減の1580億円を見込む。LNGカナダの生産開始に伴うコストの計上などが影響する。

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