山梨県内で働く約束で大学医学部の修学資金を貸す県のプログラムの違約金条項をめぐる訴訟で、甲府地裁(増永謙一郎裁判長)が20日、県に違約金条項の差し止めを命じた。NPO法人「消費者機構日本」(東京)が、違約金条項は違法だとして県を訴えていた。県は判決を不服として控訴する方針。

 県は2019年、県内の医師確保を目的に、山梨大学医学部などの地域枠の学生に6年で総額936万円の修学資金を貸与する代わりに、医師免許取得後9年間は県内の病院で働く「地域枠等医師キャリア形成プログラム」を策定した。約束を守れば返済が免除されるが、守れない場合は年10%の利息をつけて返すうえに、違約金が最大842万円発生する。

 判決は、同じようなプログラムがある他の自治体でも、山梨のような違約金の支払いを課している自治体はないと指摘。そのうえで貸与された修学資金とその利息の返還で損害は補塡(ほてん)でき、違約金は「平均的な損害を超え、不当」とした。

 訴訟では、県との約束が消費者契約法で無効とされるものかどうかが争われた。県は、地域枠の医師は「事業者」であり、消費者契約法は適用されないなどと主張。だが、判決は県の主張を退け、消費者契約法の適用を認めた。

 原告代理人の中野和子弁護士は「医師偏在の問題を個人に負わせるのはおかしいことが明らかになった。受験生にとって良い判決」と話した。

 一方、判決に先立って県は16日、この制度の見直しを表明した。県内での勤務を中断できる条件を広げたり、違約金を適用しない範囲を拡大したりするなど柔軟な運用を目指すが、あくまで違約金の仕組み自体は残す方針だ。長崎幸太郎知事は20日の会見で「税金を使った制度で、考えられる措置は違約金しかない。上級審で戦う」と話した。

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