
ダイキン工業は21日、20メートル先まで送風する空調機を4月半ばに発売すると発表した。工場や体育館、整備場など大空間での使用を想定する。2025年6月に厚生労働省が事業者に熱中症対策を義務付けたことで、工場などエアコンの導入が遅れていた場所でも空調化が進んできた。市場が成熟するなか、新たな需要を取り込む狙いだ。
製品名は「マルチジェット」で空調機の室内機にあたる。小型の店舗向けエアコンや、オフィス向けのマルチエアコンの室外機に接続して使用する。1台から最大5台まで接続できる。工場や倉庫などでは設置スペースも限られるとみて、床置きだけではなく壁掛けや天井つり下げで設置することも可能だ。体育館ではギャラリーや通路として使用される2階部分の「キャットウオーク」にも設置できる。
ダイキンはこれまで工場などの大空間で作業者それぞれに個別に空調することを想定した「マルチキューブ」を販売していた。ただ、作業者が動き回る場合など個別空調では対応できない環境もあった。
マルチジェットは20メートル先まで送風できるため、空調機から離れて作業する人にも送風できる。空調機のファンから強い風を出しても、通常は空気中に拡散してしまう。マルチジェットでは吹き出し口にハチの巣の形をしたシート状の部品を備えることで風を直進させることが可能になった。
空調営業本部長の石井克典執行役員は21日に開いた説明会で「業界の市場規模は1万台ほどだが、意気込みとしては(シェア)10%を超えていきたい」と話した。

国内の業務用空調の出荷台数はここ数年は横ばいが続く。金利上昇や建築資材、人件費の高騰を受けてビルなどの建築着工件数が減っていることが背景にある。ダイキンの業務用空調の出荷台数は、新築向けは2割程度にとどまり、既存ビルの更新が大部分を占める。
ただ工場や体育館など、まだ空調が設置されていない大規模施設も多い。競合の三菱電機も工場など大規模空間を想定した空調を提案している。設置スペースが限られているとの声を受け、室内機を屋外に置いてダクトを通じて室内を空調する商品の販売を始めた。熱中症対策もあり新たな市場が生まれるなかで、空調メーカーの競争も激化しそうだ。
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