
【ニューヨーク=竹内弘文】トランプ米大統領が米銀最大手JPモルガン・チェースと最高経営責任者(CEO)のジェイミー・ダイモン氏個人を提訴したことが22日明らかとなった。2021年の米連邦議会襲撃事件の後に同行がトランプ氏や一族が運営する会社との取引を停止したのは「政治的」と非難し、50億ドル(約7900億円)の損害賠償を求めた。
米FOXビジネスや米CNBCが22日、トランプ氏と同氏が関連する複数の事業法人が南部フロリダ州マイアミの州裁判所に訴訟を提起したと伝えた。
裁判資料によると、議会襲撃事件の約1カ月半後の21年2月、JPモルガン側がトランプ氏と関連団体の口座に関して「(同年)4月19日に閉鎖される」と通告したという。トランプ氏は数十年にわたりJPモルガンの顧客だった。襲撃事件の直前に、トランプ氏はワシントンで支持者を前に演説していた。
取引停止の判断は「政治的かつ社会的な動機、そしてトランプ氏と距離を置かねばならないというJPモルガン側の偏った思想による思い込みの結果だ」とトランプ氏側は主張した。
JPモルガンの広報担当者は声明で「トランプ大統領による提訴は遺憾だが、提訴には根拠がないと確信している」と主張。「口座を閉鎖せざるを得なかったのは残念だが、規則・規制に沿う必要性があった。我々は現政権にも前政権にも規則・規制の変更を求めてきた」と説明した。
米国で銀行が顧客の口座を強制的に閉鎖する「デバンキング」は政治問題となってきた。トランプ氏は自身の経験も踏まえて、大手銀が保守派の人物や団体を銀行システムから締め出してきたと批判してきた。
第2次政権発足直後に参加した25年1月の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)では「保守派の多くが『銀行が我々との取引を認めてくれない』と不満を訴えている」と述べた。
JPモルガンや同業のバンク・オブ・アメリカ(BofA)のCEOを名指し「(BofAのブライアン・)モイニハン氏や(JPモルガンの)ダイモン氏が保守派にも銀行を開放してくれることを願う。あなた方がやっていることは間違っている」と批判した。
トランプ氏の一族が運営するトランプ・オーガニゼーションは25年3月、米銀キャピタル・ワンがデバンキングをしたと主張して同行を提訴していた。
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