記者会見に臨む横田浩社長㊧と次期社長の井上智弘取締役常務執行役員(23日、東京都千代田区)

トクヤマは23日、井上智弘取締役(61)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。横田浩社長(64)は代表権のある会長に就く。社長交代は約11年ぶり。井上氏はセメント事業や環境事業のトップを務め会社の脱炭素化に携わってきた。井上氏は23日開いた記者会見で「事業ポートフォリオの転換と脱炭素化を進める」と述べた。

井上氏は「次なる成長事業の創出に向けて、マーケティングや出口を意識した効率的な研究開発を強化する」とも話した。トクヤマは現行の中期経営計画で電子先端材料やライフサイエンスなどの成長事業が売上高全体に占める割合を2025年度に50%以上とする目標を掲げたが、25年度は約4割となる見込みで構造改革の途上にある。

電子先端材料事業で人工知能(AI)向け需要の拡大により多結晶シリコンなど半導体材料の販売が伸びていることから、25年度の営業利益は前年度比38%増の415億円と過去最高を見込む。ライフサイエンス事業では25年にJSRから体外診断用の医薬品や材料など事業の一部を約820億円で買収しており、今後の収益貢献に期待がかかる。

トクヤマの多結晶シリコン製造プラント

トクヤマは横田社長のもと、電子先端材料事業と歯科器材や診断薬などのライフサイエンス事業に軸足を移した。過去にはマレーシアの太陽光発電パネル材料工場が市況悪化に伴って多額の減損損失を計上し、横田氏が就任した直後の15年度に1005億円の最終赤字に転落した。横田氏は同工場を韓国企業に売却して経営再建を進めてきた。

横田氏は「苦境を乗り越えて一定の成長軌道に乗せることができた」と振り返り「中期経営計画が切り替わるタイミングで若返りを図る」と交代理由を説明した。井上氏については「成長軌道を確保するには研究開発の強化が一番重要。開発、製造、経営企画の経験から起用した」という。成長加速と次への種まきができるか注目される。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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