金銭詐取問題について記者会見するプルデンシャル生命保険の間原寛社長(中)ら(23日、東京都港区)

米大手保険会社の日本法人プルデンシャル生命保険で社員と元社員による金銭受領などの不適切行為が発覚した。言語道断のルール違反である。温床となったビジネスモデルの見直しに加え、収益偏重の企業風土の改革が不可欠だ。

同社の調査によると、100人超の社員らが約500人の顧客から不適切に受け取った総額は30億8千万円に達する。そのうち、22億9千万円が返還されていない。

保険と無関係の架空の投資話をもちかけて着服したり、親密な顧客からカネを借りて返さなかったりする行為が横行していた。

法令順守意識を社内で徹底せず、事態を放置していた間原寛社長が引責辞任するのは当然だが、トップをグループ内ですげ替えただけでは悪弊の根絶に遠い。今回の不祥事の底流にある同社独特のビジネスモデルを改めるべきだ。

ライフプランナーと名付けた営業職員の報酬体系は過度な成果連動型だった。固定給はほぼゼロ。成果をあげれば、多額の報酬を得て社内表彰ではもてはやされた。

半面、保険加入を通じた節税などの助言を求めるような富裕顧客を多くつかめなければ収入は安定しないどころか、営業費用の持ち出しになってしまう構造だ。

おのずと脱落者も多く、証券会社や銀行などからの転職者らを次から次へと採用してきた。金銭的な利益を重視する志向を持つ人材もひきつけ、不適切行為につながるリスクを高めた。

旧来型の国内生保とは異質の「自由裁量」での働き方を認めて成長してきた有力外資系保険会社としてのブランド力は傷ついた。

営業に目標はつきものだが、再生には法令やルールを軽視する風潮を改め、過剰な成果重視の報酬体系の大幅な修正がまず必須だ。退職者が増えるのも仕方ない。

不祥事の影響で親会社の株価も米国市場で軟調に転じた。重要市場と考える日本の監督当局の対応に投資家の警戒感が高まった。金融庁には厳正な処分と再発防止策の徹底的な監視を求めたい。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。