「ドイイーツ」の実証に臨むメンバー。(左から)米本羽琉希、石河玲凰、猪川寛史、後藤和真、石川央昌さん=愛媛県立土居高提供

 高校生が新しいサービスや商品を提案する「第24回全国高等学校ビジネスアイディア甲子園」(毎日新聞社、大阪商業大学主催)で2025年12月、愛媛県立土居高の「サイクル・ケア・タウン 自転車でつなぐ、健康と暮らしと地域の輪」が最高賞のグランプリに輝いた。「もっともっと自転車を活用し、多くの皆さんのお役に立ちたい」。メンバーは燃えている。

 グランプリを受賞したのは、「自転車で地域に貢献する」をテーマに活動する同校地域デザイン部の米本羽琉希(はるき)さん、石河玲凰(れお)さん(いずれも2年)、石川央昌(てるあき)さん、猪川寛史さん、後藤和真さん(同1年)。地域デザイン部は25年夏にも「自由すぎる研究®EXPO2025」(株式会社トモノカイ主催、文部科学省後援)で金賞に選ばれている。

「ドイイーツ」を実証

協賛を受けたステッカー付きのバッグで宅配サービス「ドイイーツ」の実証に出るメンバーら=愛媛県立土居高提供

 今回、メンバーが出発点にしたのは先輩の祖母の悩みごとだった。自宅そばの商店がコロナ禍を経て閉店し、2~3キロ離れたスーパーまではなかなか買い物に行けず、外出の機会も減った……。自転車の宅配サービスができないかと考えた。

 学校がある愛媛県四国中央市は人口減少と高齢化が進み、「暮らしの不便」「健康不安」「地域経済の衰え」という三重の課題がある。メンバーはそう考え、一方で県全体には「しまなみ海道」を中心にサイクリング文化が根付いていることに着目。自転車を活用したまちづくり構想を進めた。

 25年10月には市内の高齢者・障害者福祉施設6軒に対し、買い物代行へのニーズを電話で聞き取り調査して実現可能性を探った。「スーパーが近くにない」「若い人と交流する機会がない」「ぜひ利用したい」との声が集まった。11月に市内であったマルシェで、自転車の宅配サービス「DoiEats(ドイイーツ)」を実証してみた。高齢者施設などへ3週間ほど前から注文を募ったところ、弁当、パン、和菓子セットなど150件以上が寄せられ、7万円以上の売り上げに結びついた。地元企業からは協賛の「ドイイーツステッカー」も目印に贈られた。

グランプリに輝き、さらにビジネス案を磨く愛媛県立土居高の(前列左から)石河玲凰さん、米本羽琉希さん、(後列左から)石川央昌さん、猪川寛史さん=愛媛県四国中央市で2026年1月28日、松倉展人撮影

 メンバーはビジネス案として、宅配の利用料やサイクリングツアーの参加費、地元企業からの協賛金、自治体からの補助金、自転車車体の広告収入などを組み合わせた収益モデルを構想。さらに、電動自転車を活用した健康づくり、廃棄自転車を再生して経済的理由で自転車を持てない中学生に提供することなどで、地域に役立つことを目指している。

 米本さんは「施設を利用している皆さんの声を聞き、思いを感じることができてうれしかった。これからも互いに学び、交流していきたい」、石川さんは「苦労はあっても実を結ぶことができた。自分で物事を解決できる力をつけていきたい」とそれぞれ話す。

 3~4月にかけ、第2回の「ドイイーツ」を開く他、5~6月には小学生らを招いて独自に交通安全教室を開くなど、地域貢献を着実に続けることにしている。【松倉展人】

土居高の「サイクル・ケア・タウン」案

①買い物代行+見守りを行う自転車宅配

②電動アシスト自転車で楽しく続けられる健康づくり

③特産品と連動した観光サイクリング

④廃棄自転車を再利用したエコな移動支援

⑤マルシェなどのイベントで地元グルメを届ける「ドイイーツ」配達サービス

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