
佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)は、仮想空間に現実を再現するデジタルツインを物流コンサルに生かす。物流業界では人手不足を背景に自動化や省人化のニーズが高まっているが、複数の機器を総合的にシミュレーションするのは難しかった。効率化の効果や費用を検討し、顧客に精緻な提案を実現する。
SGHD傘下でIT分野を統括するSGシステム(京都市)がサービスを始めた。SGシステムは物流効率化のコンサルを手掛けている。製造業向けのデジタルツインソフトを導入し、倉庫全体の作業フローを見やすくする。
顧客は倉庫内の作業効率化のため、AGVと呼ばれる無人搬送車や棚を運ぶロボット、自動仕分け機などの導入を検討している。従来はエクセルを用いて個々の機器の効果を検証していたが、複数の機器を組み合わせて使う際の効果や、既存設備の稼働に与える影響といった倉庫全体での総合的な効果を把握しにくかった。

デジタルツインとは、現実の空間や作業をデジタル上に双子(ツイン)として再現する技術のこと。仮想空間上でシミュレーションや分析を実施できる。製造業では工場内の作業効率の改善のため導入が進んでいるが、物流業界で自動化コンサルに用いるのは珍しい。
例えば作業者の歩行距離を減らしたい場合、まず作業者の歩行や作業のスピードを設定。どこで荷物を運び出してどこに運んでいくかといったデータを入れれば、入荷から出庫までの倉庫内の作業がシミュレーション動画として視覚化できるほか、定量的な改善効果も把握できる。
一度モデルを構築すれば、どんな機器をどこに設置するかといった導入パターンを複数検証できるのも強みだ。顧客への素早い提案につなげることができる。
検証できるデータは、作業者や機器の稼働率などに限らない。在庫や進捗状況、電力などのエネルギー消費量やコストも計算可能だ。動画と数値、グラフによってSGシステムが顧客の物流担当に機器導入をしやすくなる。顧客側も社内で理解を得やすくなる。
SGシステムはコンサルにとどまらず、機器の導入支援も手掛けており、導入後に稼働を軌道に乗せるまで一貫してサポート可能だ。WMSと呼ばれる倉庫内の入出庫や在庫管理をデータ化するシステムも提供可能だ。
物流業界ではトラック運転手の人手不足が深刻だが、倉庫内の作業者の不足も著しい。SGシステムは食品卸や製造業など幅広い顧客に自動化ニーズがあるとみる。今後は人工知能(AI)を活用して、自動搬送機の最適な配置場所や数を導くといったサービスの改良を進めていく。
(阿部晃太朗)
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