
日本航空(JAL)と東京都は28日、水素で航空機を動かす特殊車両の実証実験を羽田空港で始めると発表した。27年間稼働した既存車両1台を、水素と酸素を反応させて電気をつくる燃料電池車(FCV)に改造した。8月から12月にかけて羽田空港で国内線の出発支援に使い、実用化に向けた課題を洗い出す。
実証実験は東京都が支援する事業の一環。車両を改造したタジマモーターコーポレーション(東京・中野)などと協力して取り組む。既存の車両から内燃機関や燃料供給装置を取り外し、燃料電池や水素タンク、モーターなどを新たに搭載した。既存車両と比べると実験期間で二酸化炭素(CO2)の排出量を2.6トン減らせるという。JALによれば航空機を動かす特殊車両のFCV化は国内初という。
航空機は自力で後退できないため、駐機場から滑走路に向かう際には特殊車両で押すことが必要になる。FCVに改造した車両の重さは25トンで、重さ180トンの航空機を押せるという。
28日に記者会見したJALの鳥取三津子社長は「既存の航空機のけん引車をFCVに改造するのは日本初で、世界でもまだ商用化されていない」と語った。東京都の小池百合子知事は「日本の空の玄関の羽田空港で脱炭素化を進めることは東京から世界に向けた力強いメッセージだ」と述べた。
水素は燃料させてもCO2を発生させない。脱炭素のエネルギー源として注目度は高く、欧州エアバスなどが水素航空機の開発を進めている。JALも23年に水素航空機用の燃料電池エンジンを開発するスタートアップ企業と組んだ。
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