
八ケ岳南麓の酒蔵、武の井酒造(山梨県北杜市)は山梨県と連携し、同市にある県営大門ダムで日本酒の貯蔵実験を始めた。年間を通じて気温がセ氏10〜15度と冷涼なダム内で、電力を使わず特別純米酒を熟成させる。地域資源を有効活用し、脱炭素と良質な酒造りの実現を目指す。
実験現場を28日、報道陣に公開した。水深約50メートルのダム湖の地下通路に720ミリリットルの日本酒360本を同日までに運び入れた。半年間貯蔵し、2026年3月に熟成効果を検証する。武の井酒造の清水元章社長は「まろやかで深みのある熟成感を期待している」と話した。
同社は県企業局と山梨中央銀行の協力を得て、酒蔵で使用する電力から排出される年間約24トンの二酸化炭素(CO2)を大門ダムの水力発電所にひも付いた非化石証書で相殺している。「小さな酒蔵も環境を意識しなければいけない」(清水社長)と、日本酒のダム貯蔵によって脱炭素をさらに進めたい考えだ。
武の井酒造はフレッシュな味わいを楽しむ吟醸酒などは氷点下2度の冷蔵庫で貯蔵している。熟成に適した日本酒は常温倉庫に保管しているが、夏場は35度近くになる倉庫もあるなど温度変化への対応に苦慮しているという。

- 【関連記事】山梨県と山梨中銀、水力発電で県内企業の脱炭素を支援

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。