TSMCの魏哲家CEO(左)の表敬を受け、記念撮影に応じる高市早苗首相=首相官邸で2026年2月5日午前11時、幾島健太郎撮影

 半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は5日、熊本県で国内初となる最先端の3ナノメートル(ナノは10億分の1)世代の半導体を量産する計画を政府に伝えた。当初の計画よりも高性能な半導体で、AI(人工知能)サービスやデータセンター向けなどの需要に応え、産業ロボットなどの「フィジカルAI」の国内基盤強化につなげる。政府は7320億円の補助金支出を決めていたが、増額も検討する。

 TSMCの魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)が首相官邸で高市早苗首相と面会し「熊本における新たなギガファブ(巨大工場)計画を発表できることを光栄に思う。3ナノメートル技術を活用する」と伝えた。

 TSMCは2022年末に3ナノメートル品の量産を開始。AI向けデータセンターやスマートフォンなどに搭載されており、ロボットや自動運転技術への活用も見込まれる。首相は「戦略物資である半導体のグローバルサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化や我が国の経済安全保障の観点から大きな意味がある」と歓迎した。

TSMC熊本第2工場の建設予定地=熊本県菊陽町で2025年10月24日午前9時48分、本社ヘリから

 熊本県菊陽町に建設中の熊本第2工場で6〜12ナノメートル品を製造するとしていた従来計画を変更する。設備投資額も、これまでの139億ドル(約2兆1000億円)から上振れしそうだ。

 第2工場は25年10月に工場の本体工事が始まったが、11月下旬から工事がストップし、現地では撤退などの臆測も広がっていた。

 一方、北海道千歳市では、国策半導体受託製造会社ラピダスが2ナノメートル品の量産化を目指している。政府は3ナノメートル品とは競合しないと判断したもようだ。

 半導体は回路線幅が細くなるほど高性能になる。現在、最先端の半導体製造能力は台湾、韓国、米国に集中している。中国は膨大な公的資金を投入し、国策として技術開発を推進。米国は関税や輸出規制を武器に技術流出を防ぐなど対立が続いている。【中島昭浩、原諒馬】

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