開幕した関西財界セミナーであいさつする関西経済同友会の永井靖二代表幹事(5日午前、京都市左京区)

関西の企業経営者らが経済や社会課題などについて議論する第64回関西財界セミナー(関西経済同友会、関西経済連合会主催)が5日、国立京都国際会館(京都市)で開幕した。大阪・関西万博を通じて世界で高めた「KANSAI」の認知度を生かした観光産業の育成など、地域発展のあり方について活発な意見が交わされた。

メインテーマは「新たなステージへの挑戦〜関西が描く持続可能な未来社会〜」。このテーマの下、万博レガシー(遺産)の継承や、観光とまちづくりの針路、人口減社会における外国人材の活用、人工知能(AI)に関わる国家・企業の戦略など6つの分科会を設定して議論が進められた。

ポスト万博の新たな観光とまちづくりについて話し合う分科会では、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)が「万博で生まれた成果をレガシーとして継承していくことが重要だ」と強調。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)が開業する2030年に向け、観光面での受け入れ体制を整える必要性を訴えた。

観光インフラの整備については三菱UFJ銀行の堀直樹会長が「都市間の円滑な連携に向け、観光やビジネスなどを面でつないでいくことが重要だ」と指摘した。近鉄グループホールディングスの都司尚会長は「高まった認知度を生かし、オーバーツーリズムに配慮しながら広域誘客につなげる必要がある」と述べた。

ポスト万博の新たな観光とまちづくりがテーマの分科会で討議する関西財界セミナーの出席者(5日、京都市左京区)

万博のレガシーについては別の分科会でも議論され、オリックスの高橋豊典参与は「『KANSAI』ブランドが海外に向けて発信されたことが大きい」と評価した。多彩な先端技術が示されたことについて「万博会場でものすごい量の実証データが集まった。技術を社会実装する上での知見が得られたこともレガシーだ」(シスメックスの浅野薫社長)といった声もあった。

人口減少や外国人材の受け入れについても話し合われた。滋賀県の三日月大造知事は「かつての失われた住環境の良さを取り戻すといった、人口減少を課題ではなく可能性と捉え直す視点も重要だ」とし、「一人ひとりを大事にする投資」を求めた。

労働人口を下支えする外国人材について、川崎重工業の金花芳則会長は「特定技能の在留資格を取得した人は都市部に転出してしまう実態がある」と説明。「(工場などがある)地方で働き続けてもらうための生活やキャリア面の支援が欠かせない」とした。

AI活用における国家・企業の戦略についての議論では、JR西日本の奥田英雄取締役が「環境変化が著しい時代だからこそ業界でまとまってAIの開発や利活用を進めるべきだ。関西が団結できれば日本を引っ張る力になる」と述べた。

一方でパナソニックホールディングスの玉置肇副社長はAIについて「文房具のようなもので、根本的な生産性向上は生まない。業務をイチから組み替える覚悟がなければ使いこなせない」と、過度に期待する風潮に警鐘を鳴らした。「数値化し難いノウハウや長年の経験という広い意味での知的財産が道になる」(ダイキン工業の山本雅史常務専任役員)など人類の知恵とAIの融合に活路を見いだす意見もあった。

6日も分科会ごとの議論が続く。「関西財界セミナー賞 2026」の贈呈式も開かれる予定だ。

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