フジクラの超電導線材

フジクラは9日、電力をつくる際に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代の発電方式である核融合発電向けに、56億円を投じて超電導線材を増産すると発表した。従来明らかにしていた設備投資と合わせて2028年度に現在の6〜8倍の生産能力とする。核融合発電の開発が加速しており線材の不足が見込まれるため追加投資を決めた。

これまで24年度に約60億円を佐倉事業所(千葉県佐倉市)に投じて生産能力を従来の約3〜4倍にすると発表していた。今回、佐倉に追加投資して工場をさらに2倍に拡張する。

超電導線材は発電のために強い磁場をつくるのに使う。セ氏マイナス196度以下でも超電導を維持できる。従来の線材は希少資源の液体ヘリウムを使ってマイナス269度まで冷やす必要があったが、フジクラの線材は調達しやすい液体窒素で冷やせる。

同社の超電導線材はレアアース(希土類)のガドリニウムやユウロピウムを使う。中国がレアアースの輸出規制を強化する中、同社が使うレアアースの量について岡田直樹社長は「非常に微々たるもので今大きな問題があるわけではないが、中国の問題はあるので、ある程度在庫を確保し、調達先を複数持つようにしている」と話す。

フジクラはこれまで核融合スタートアップの京都フュージョニアリング(東京・大田)や米コモンウェルス・フュージョン・システムズに出資するなど、核融合分野への関与を深めている。

核融合発電は原子の核同士が融合する際に発生する膨大なエネルギーを発電に使う。燃料には海水に含まれる重水素などを使うため原料調達が容易で、原子力発電のような連鎖反応が起きにくいため事故のリスクが低い。

同日、人工知能(AI)の普及に伴い世界中で建設が進むデータセンター向けに、同社が手掛ける光ファイバーの工場投資の方針も説明した。旺盛な需要を受けて光ファイバーの需要が想定を超えて増えている。これまでは「追加の設備投資が必要」と説明していたが、「新たな工場を建設する規模でなければならない」(岡田社長)と、より投資規模が大きくなることを示唆した。

同社は25年度から光ファイバーの生産に加え、データセンターでの敷設工事を請け負うエンジニアリング事業も拡大している。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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