専門家による第三者委員会を設置して金銭詐取事案を再調査すると表明したプルデンシャル生命保険の得丸博充社長(中央)=東京都港区で2026年2月10日午後1時12分、山口智撮影

 社員や元社員合わせて107人が顧客から計31億円をだまし取っていた外資系のプルデンシャル生命保険は10日、東京都内で記者会見を開き、第三者による調査委員会を設置したと発表した。多くの社員が不正に及んだ経緯や要因を再調査する。一方、被害に遭った顧客から同社に寄せられた補償申請の中には、これまで把握していなかった事案も含まれており、同社が公表した以上に実際の被害が大きい可能性がある。

 第三者委は弁護士4人で構成する。実態解明に加え、同社が独自に行ってきた社内調査結果の妥当性や、1日付で引責辞任した前社長の間原寛氏を含む旧経営陣のガバナンス(企業統治)体制も検証する。結果は調査後に公表する。

 1日に社長に就任した得丸博充氏は、問題公表後に開いた1月の記者会見では自社で実施した調査で十分との認識を示し、第三者による調査に否定的だった。この日の会見では一転して、「ここで変われなかったら我々が日本で事業をすることは難しい」と述べ、原因究明への決意を語った。

 会見では関与した107人のうち、現在も連絡がつかない元社員が10~20人程度いることも明らかにした。その一方、投資商品などの取扱業者を社員が顧客に紹介して業者からキックバック(謝礼)を受け取っていた問題について、詳細な説明を拒否した。社員らが紹介した業者の中にはすぐに連絡が途絶えたり業務停止になったりした会社もあり、永瀬亮コンプライアンス統括は「業者が当初から詐欺的な行動を意図していたかは分からないが、健全ではなさそうな会社が含まれていたのは事実」と語った。

 被害にあった顧客は分かっているだけで約500人に上る。被害総額の7割に当たる約23億円が顧客に返金されていない。

 同社は第三者の専門家による補償のための委員会も設置した。社員が在職中に起こした事案については委員会の審査を経ずに顧客に全額補償し、元社員については委員会で審査する。既に顧客からは約300件の補償の申請があり、同社が把握していなかった事案も含まれていたという。

 同社はガバナンスや営業制度を見直すため、今月9日から90日間、新規の保険販売を自粛している。営業職の採用も一時取りやめている。営業自粛や被害者への補償などにより3億~3・5億ドル程度の影響が見込まれるという。金融庁は悪質性を重く見て、先月下旬に同社への立ち入り検査を実施した。【山口智】

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