中期経営計画を発表するクボタの花田晋吾社長(13日、大阪市)

クボタは13日、2030年12月期まで5年間の新たな中期経営計画を発表した。これまではトラクターなどのシェア拡大を優先するため、自社で顧客のローン金利を負担するなどの優遇策に依存してきた。利益率重視の経営へ転換しつつ、5年間で約1兆4000億円を投資に振り向け、さらなる成長を目指す。

「北米の小型トラクターではアジア勢が入ってきたため、シェア維持のために無理をしてきた面がある」。同日に大阪市内で記者会見した花田晋吾社長は訴えた。新たな中計で最も注力するのが、収益性を重視する経営へのシフトだ。

クボタは海外売上高比率が8割に達する。北米では小型トラクターを中心に存在感を示してきたが、ここ数年で韓国勢などが台頭し、苦戦する場面も目立っていた。シェアを獲得するために進めてきたのが金利負担の優遇策だった。

トラクターを購入する顧客のローン金利をクボタが負担することで販売促進につなげてきた。短期間だけでなく、5〜6年など比較的長い期間の金利も実質ゼロにしたことで収益が悪化し、営業利益率は10%を割り込んだ。中計ではこれまでの経営を「物量重視事業モデルの行き詰まり」と評した。

金利負担の優遇策は25年7月から最大3年間までとしており、花田社長は「期間や金利の見直しについては柔軟に対応する」と強調する。優遇策の縮小などによって総資産回転率を現在の0.49回から0.64回へと向上させ、北米での製品在庫月数は30年までに3割削減する方針だ。足元で8.8%の営業利益率は12%を目標とする。

コスト削減も進める。1月1日に導入したチーフオフィサー(CxO)制などを通じ、最高技術責任者(CTO)らに責任と権限を与えて経費管理を徹底する。コストの増加率は国内外の物価上昇率を目安とし、年3%以下に設定した。

利益率重視の経営によって営業キャッシュフロー(CF)を最大化し、積極的に投資へ回す。設備投資は年1800億円規模を想定し、うち3割程度を成長投資に充てる方針だ。インドではトラクターなどの工場建設を予定する。

クボタは22年にインドのトラクター大手、エスコーツ(現エスコーツクボタ)を買収した。インドでは比較的安価な「ベーシックトラクター」を生産しており、インドを拠点に世界各地へ展開する構想を描く。花田社長は「(北米市場で)クボタ製とインド製のトラクターで挟み撃ちにするような戦略をとっていきたい」と語った。

研究開発には年1000億円規模を投じる。農機や建機の自動化など「テーマを厳選し、成長事業に経営資源を重点配分する」(花田社長)方針だ。M&A(合併・買収)については経営効率化によって生まれるキャッシュだけでなく、借り入れも活用して柔軟に対応する。株主還元では30年までの5年間で計9000億円のフリーCFを創出し、安定的な配当や自社株買いなどにつなげるとした。

クボタの株価は26年に入り、上場来高値を約5年ぶりに更新した。市場全体が盛り上がる中で出遅れる形となっていたが、ようやくスタートラインに立ったとも言える。新中計を実行へ移した先にしかさらなる上値の余地はないだろう。

(田村匠)

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