国が建設した新幹線の線路や駅舎といった施設の使用料の支払い延長を巡り、国とJR東日本など4社の対立が続く。JR東は「建設費用分は支払い済み」との姿勢を示し、JR西日本は長期の負担増を懸念して適正な金額への引き下げを訴える。国土交通省は夏までに結論をまとめる。
この問題は、1973年に決定した整備計画に基づいて国の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設した「整備新幹線」に関連する。線路などの施設をJR東日本、西日本、九州、北海道の4社に貸し付ける形をとる。
路線は5つある。北海道新幹線の新青森―札幌、東北新幹線の盛岡―新青森、北陸新幹線の高崎―新大阪(金沢や敦賀を経由)、九州新幹線の博多―鹿児島中央、西九州新幹線の博多―長崎の5区間となっている。このうち東北と九州は全線開業している。

ほかの3路線は開業しているものの、一部に建設中や未着工の区間が残る。73年より前に計画され、旧国鉄時代に建設した東海道新幹線や山陽新幹線などは含まない。
使用料は現在、30年間の定額制となっている。5路線でJRの4社が年間で計800億円程度を国に払っている。30年が経過した後の負担のあり方については明確なルールがない。
国交省はこれまでに国会答弁で、受益がある限りは使用料が発生すると説明している。使用料は新幹線整備の財源となっており、より長く確保できれば国や自治体の負担をその分抑えられるとみる。
31年目以降の有償での貸し付けを前提に使用料を議論する有識者委員会を立ち上げ、JRの4社への聞き取りを16日までに終えた。今後は期間や金額の算定方法などが論点となる。
JR東日本は支払いの延長に反発する。松本雄一執行役員は2025年12月の国交省による意見聴取後に「まだ何も決まっていない」と記者団に語り、国側をけん制した。1991年に国と結んだ文書を根拠に、31年目以降は維持管理に関する費用のみとすることを求める。
具体的な金額は示していないものの、JR東日本は負担が軽くなると想定しているもようだ。開業後50年後に想定する大規模改修についても、国側が費用を負担することを要望している。
JR各社で主張には温度差がある。JR西日本やJR九州は経営の健全性を保てる範囲内で負担に応じる姿勢をにじませる。16日の意見聴取後に報道陣の取材に応じたJR九州の古宮洋二社長は31年目以降の使用料に関して「ある程度長期間をもって一定額にするというのが会社の経営にとって望ましい」と述べた。
背景には年間の負担感の違いがある。使用料の年800億円程度のうち、6割超のおよそ500億円はJR東日本が負担している。JR東は2025年12月にも新幹線に関連して国に支払った費用が「当社エリア内の整備新幹線の総事業費を上回る」と主張した。
JR東日本が運行する路線は、支払期限が近い路線が多いこともある。北陸新幹線の高崎―長野は27年10月に、東北新幹線の盛岡―八戸は32年に開業30年を迎える。他社で30年を迎えるのはJR九州が最速で2034年、JR西日本が45年、JR北海道が46年となっている。
国交省は聞き取りをふまえ、今夏までに議論をまとめる。JRの各社が納得できる考え方を提示できるかが問われている。
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