関西電力は29日、福井県内の原子力発電所内の「乾式貯蔵施設」で一時保存する使用済み核燃料について、2035年末までに中間貯蔵施設への搬出を始める方針を福井県に伝えた。中国電力は同日、関電とともに検討する中間貯蔵施設の予定地への建設が「可能」とする調査結果をまとめた。原発の安定稼働へ、使用済み核燃料の搬出計画を進める。

乾式貯蔵施設は水を張った燃料プールとは別に、使用済み核燃料を専用の金属容器「キャスク」に入れて空気で冷やして保管する施設。関電は同施設を美浜原発(美浜町)、高浜原発(高浜町)、大飯原発(おおい町)内にそれぞれ設置する方針だ。関電は「搬出を円滑にする目的」と説明する。
高浜原発の一部では既に、原子力規制委員会から設置計画の許可を受けている。今後、県などの了解を得た上で着工し、30年ごろからプールの燃料を乾式貯蔵施設に移す。

県は乾式貯蔵施設設置の条件として、具体的な燃料の搬出時期の考え方や、立地地域の振興に向けた取り組みなどを関電に回答するよう求めていた。
関電の水田仁副社長は29日、福井県の中村保博副知事と会い、乾式貯蔵施設の燃料は遅くとも35年末までに県外の中間貯蔵施設への搬出を開始する方針などを説明した。中間貯蔵施設は、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場に運搬するまでの間、使用済み核燃料を貯蔵しておく施設だ。
ただ、関電は搬出先の中間貯蔵施設がどこになるのか、具体的には言及しなかった。現在、中間貯蔵施設は青森県むつ市に1カ所あるが、関電の利用は現段階で想定されていない。中国電力が29日、山口県上関町で建設を検討している使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、予定地での建設は技術的に「可能」とする調査結果を同町に報告しており、ここが搬出先として有力候補になるとみられる。

関電は中間貯蔵施設への搬出時期に加え、年50億円を基準に拠出して福井県など自治体に寄付する仕組みを立ち上げたことなど地域振興に向けた取り組みなどについても説明。福井県の中村副知事は関電の報告に対し「今回の報告や原子力安全専門委員会の議論などを踏まえ、総合的かつ慎重に判断したい」と述べた。
生成AI(人工知能)拡大を受けたデータセンターの新設などにより、電力需要は増加が続く見込みだ。脱炭素電源である原発の必要性は増している。
関電は7月、美浜原発内で次世代原発への建て替えに向けた調査をする方針を明らかにした。政府の第7次エネルギー基本計画では、核燃料の再処理サイクルの確立など「バックエンド問題の進展も踏まえつつ」建て替えの具体化を進めるとしている。
日本原燃の六ケ所村の再処理工場は26年度に完成予定だが、これまで27回延期された経緯があり不透明さも残る。中間貯蔵施設などへの搬出も進まなければ、原発内の使用済み核燃料プールは満杯に近づいていく。
原発の安定稼働や建て替えには地元の理解が欠かせない。使用済み核燃料の搬出や処理をどう進めていくか、今後も丁寧な説明が求められる。
(中村信平、津兼大輝)
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