
三菱商事は20日、英資源大手のアングロ・アメリカンが英国で進めている肥料向け原料の開発プロジェクトに出資すると発表した。投資額は数十億円とみられる。2032年ごろの生産開始を見込み、実現すれば三菱商事として初の肥料原料の生産となる。世界的な人口増加で食料需要が拡大する中、農業生産を支える肥料市場を開拓する。
三菱商事は3月上旬にもアングロがもつ「ウッドスミス事業」運営会社による第三者割当増資を引き受ける。同事業は英北部のノース・ヨークシャー州でアングロが20年から開発中だ。2社で事業化調査を継続し、28年の最終投資決定をめざす。投資が決まれば生産設備の設置などで両社による追加の大型投資が必要となる。
天然鉱石のポリヘライトを、保有する鉱山の土中から採掘する。鉱山から近隣にある港湾に運び、海外へ輸出する。肥料の主要原料で、根の成長と病害虫への抵抗力を高めるカリウムのほか、硫黄、マグネシウム、カルシウムを含む高機能な原料だ。世界で商用生産している事例は現在、イスラエル企業のICLだけとみられる。
アングロ連合は32年の生産開始後、30年代後半に年1300万トンのフル生産を予定する。主要成分のカリウム含有量でみると、世界需要量の約4%に相当する。この鉱山でポリヘライトの埋蔵量は60年超と見積もられており、長期にわたって収益が見込めそうだ。
三菱商事はブラジルで農業資材の販売や穀物を生産する子会社のアグレックス・ド・ブラジルが運営する農場を使い、ポリヘライトの効用を確かめる試験を実施中だ。豊富な海外ネットワークを活用し、現地の農業資材の卸売会社と連携して販売を支援する。
三菱商事は12年3月期にペルーで肥料の主要原料であるリン酸を主成分とする鉱石の開発事業に出資した。だが開発に至らず、撤退した経緯がある。肥料の主要原料は窒素、リン酸、カリウムだ。原料を混ぜて肥料をつくるのが一般的という。
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